歴代の名言・格言大賞

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大賞

病室の夕陽より、やっぱり台所の朝陽ね

相野 正 あいの ただし 66歳 会社員

(ガンの)外科病棟を退院し、帰宅した翌日、台所に立った妻の一言。

【 大賞寸評 】

病気を乗り越えて、家族が後ろにいる台所から朝陽のまぶしさを感じて思わず口に出てしまった一言だと思います。
「台所」という言葉が生活感をより際立てていて、飾らない言葉だからこそ日常生活に戻った時の感動が表現された作品でした。

優秀賞

ひとつふたつの傷は目立つけど、
傷だらけになるとそれは、
「磨かれた」ということ

濵中 良 はまなか まこと 63歳 団体職員

還暦超の高校同期会で、半生を振り返って誰からともなくそういう話しになってなんとなく一同、納得した言葉。
「そういうことダヨナ」

【 優秀賞寸評 】

この言葉を聞くだけで、膝を打つような納得感を感じることができる、まさに完成された一言です。
還暦を超えて、人生を振り返ってこそ出てくる奥深さが表現されています。
内面的な心の傷も磨かれているのだと思うと、前向きになれる言葉です。

ぼくは優しい怪獣になる!

山崎 いづみ やまざき いづみ 34歳 パート

息子は強くて大きい怪獣に憧れる腕白な男の子でした。ところが、自然災害のニュース映像を見て、
土砂崩れに巻き込まれた自宅をみて泣く人や、川の氾濫で電柱につかまって助けを待つ人に心を痛めたようです。
優しい怪獣になって、困っている人を助けてあげたいそうです。息子の小さな成長を実感した言葉です。

【 優秀賞寸評 】

子どもにとっての怪獣は、一見すると怖いし強いというイメージを持っています。けれどもそんな姿に憧れて、
正義の味方ではなく「優しい怪獣」になることで、困った人を助けてあげたいと思う素直な気持ちがうまく表現されています。

審査員賞

泉麻人賞

ネギにアイロン当てたのがニラ

雨森 茂喜 あまもり しげき 75歳 無職

娘が5~6才だった頃、ニラの買物を頼まれて…。

【 泉麻人氏寸評 】

これ、読んで一瞬、?となって2秒後くらいにヘヘッと笑った。大阪の方のようだから、関西に多い青ネギですよね。
アイロンでシューッとなった感じが目に浮かぶ。

椎名誠賞

赤ちゃんランドセルだ!! ママも一年生だね。

須合 里美 すごう さとみ 29歳 主婦

赤ちゃんをおんぶしていた時に、小学校入学したばかりの息子に言われました。上の子と下の子は6歳差。
久しぶりの育児にバタバタしていたので…その発言に、また一からがんばろうと思えた一言でした。

【 椎名誠氏寸評 】

手帳大賞では小さな子のほんの一言が取り上げられることが多い。
これも小さな子しか思いつかない、思わずはっとする愛情あふれる発見で、なんとも微笑ましい気分になります。

黛まどか賞

おはなしのきれいなひとだったねえ

鍜治 銘子 かじ めいこ 55歳 主婦

言葉遣いの丁寧な私の友人が帰ったあとで、三歳だった娘がしみじみと。
そんなことに心を留めていたことにおどろき、それを三歳児の語彙で表現するとこうなるんだと新鮮な印象を受けた。

【 黛まどか氏寸評 】

日本には昔から「言霊」の文化があります。美しい言葉には、美しい心が宿り、周囲まで幸せにする。
それを理屈でなく直感で覚った子供の感受性に、はっとさせられました。

大賞

お父さんのにおいはおつかれ様のにおい。

塚本 勝子 つかもと かつこ 40歳 パート主婦

6歳の息子が、父親にぎゅーっとして言った一言です。子供なりに父親の頑張りを分かっているのだと感動しました。

【 大賞寸評 】

仕事から帰ってきた大好きなお父さんに向けられた言葉でしょうか。お父さんはもちろん、このやり取りを聞いていた応募者のお母さんも嬉しかったことでしょう。自然とこんな言葉が出てくるあたたかい家庭の情景が目に浮かぶ、誰もが優しい気持ちになれる言葉です。

優秀賞

おこりんぼうより笑いんぼうの方がいいな。

牛嶋 香織 うしじま かおり 36歳 主婦

いつもママに怒られてばかりの息子が言った一言です。なるほどと納得させられました。

【 優秀賞寸評 】

“笑いんぼう”という言葉には、思わず微笑んでしまうような、人を幸せにする力があると思います。この言葉通り、いつも笑顔で過ごせば、何事もうまくいくのではないでしょうか。

布団の中って平和だよなぁ

立花 健 たちばな たける 21歳 学生

泊まりで友人と遊んでいたとき、友人が寝る前にふと言った言葉です。シンプルに核心を突いた言葉だと思います。やはり布団のぬくもりは母親のお腹の中と似たものがあるのでしょうか?

【 優秀賞寸評 】

そのシーンのイメージがわく、誰もが共感してしまう言葉です。「平和」という言葉が、今の時代性とも重なって、深い余韻をもたらしてくれます。こういうぽろっとこぼれる言葉に、世の中の真実は隠れているんですよね。

審査員賞

泉麻人賞

雨にジャズば習(なろう)とる

高橋 絵美 たかはし えみ 35歳 会社員

雨が降る中、小学5年生になる友人の息子が、傘をささずに顔で雨を受けていました。「何をしてるの?濡れちゃうよ」と、私が話しかけるとこの言葉が。彼は今ピアノに夢中だそうですが、将来は有能なピアニストか、はたまた偉大な詩人になるのでは・・・と思わされた一瞬です。

【 泉麻人氏寸評 】

雨とジャズの語感がいいね。なんとなく、ジーン・ケリーのマネをして雨中で踊るマセた少年の姿が思い浮かんできます。

椎名誠賞

顔じゃいけませんか?

高辻 清長 たかつじ きよなが 67歳 無職

二人の内のいずれかが50代であれば割引きになる映画館の入口で「何か証明になるものは?」と訊かれ、妻がとっさに言った一言です。

【 椎名誠氏寸評 】

この国はしばしばろくでもないサービスのシステムを作り、結局、形式だけの底の浅さがばれてしまう。そのあたりのばかばかしさを、この一言が射抜いた。

黛まどか賞

思い出は心の非常食

小田嶋 幸美 おだじま よしみ 41歳 自営業

大学の時の先輩の名言です。確かに、こう考えるとその時辛くても、さみしくても「良い時もあったな」と少し冷静になって乗り切れます。良い思い出があればある程、がんばれます。

【 黛まどか氏寸評 】

子供の頃に愛された記憶が、生きる力のある人を作るように、良い思い出は、私たちをさりげなく包み、背中を押す。この言葉そのものが非常食になるような名言です。

大賞

「幸せ」って字、逆さにしても幸せなんだね。

伊吹 恵子 いぶき けいこ 48歳 会社員

私が懸賞にはまっていた頃、食卓テーブルでハガキを書いていると、息子がのぞき込んで言った言葉です。彼が指さしたのは住所の中の一文字ですが、何かすごく「深い事」を言われた気がしてドキッとしました。いつまでも忘れない一言でしょう。

【 大賞寸評 】

「逆さにしても幸せ」というのは、なかなか深い。「逆境の中にも幸せはある」という意味にも取れる前向きな言葉だ。また、言葉が視覚的なところも面白い。子供ならではのまっすぐで素直な視点に好感が持てる。

優秀賞

富士山は上から見ると丸い

岩中 幹夫 いわなか みきお 38歳 公務員

仕事で腹を立てていた私に、上司がくれた一言。物事には様々な見方があり、できるだけ広い視野を持ちたいと意識するようになりました。

【 優秀賞寸評 】

気づけば当たり前のことだが、見落としがちなところに目を付けた視点の独自性。見方を変えれば、物事の見え方は変わる、という哲学的な趣がある。いろんな場面で応用できそうな使い勝手の良さもこの言葉の魅力。

芋だって昆布だって干されて味が出るんだぞ

渡会 克男 わたらい かつお 64歳 公務員

左遷されて落ち込んでいたとき、この先輩の言葉につい涙ぐんでしまった。

【 優秀賞寸評 】

この言葉のいいところはつらさをユーモアに変え、明るく捉えられるところ。そして、ただユーモアがあるだけでなく、後になって昆布や芋のようにじんわりと味がにじみでてくるところ。深い愛のこもった言葉である。

審査員賞

泉麻人賞

弁当あけたら春が来た!

平石 孝美 ひらいし たかみ 48歳 会社員

弁当持参で塾へ通う小6の息子。まだ寒いある日、空豆入りの炒り卵と菜の花のあえものを弁当に詰めました。帰って来て、空っぽの弁当箱を差し出しながら、息子が言った一言です。嬉しくて、私にも春が来たようでした。

【 泉麻人氏寸評 】

「春が来た」のフレーズからは、季節の“暖かさ”とともに人の“温かさ”が伝わってくる。少年は無意識に語ったのかもしれないが、詩的センスを感じる。

椎名誠賞

お母さん、おやすみー!五歳になってくるね。

森部 陽子 もりべ ようこ 44歳 主婦

明日は誕生日、という夜。五歳になるのが嬉しくて、娘はこう言って2階へ上がっていきました。5年も前の話ですが、今でも名言だと思います。食事中に目が合った時、真顔で「オス!」と言われたこともあります。三歳の頃でした。何かと面白い子供です。

【 椎名誠氏寸評 】

明日はうれしい誕生日。その前の日の期待と少し心配な気持が素直にあらわれていて、大人には絶対に発想できない世界だ。

黛まどか賞

おとなが言う”あとで”はもうこないみらい

諸遊 鮎美 もろゆ あゆみ 33歳 パート

五歳の息子に言われました。私はつい「今忙しいからあとで!」と言って後回しにして忘れてしまうので…はっと反省した一言でした。

【 黛まどか氏寸評 】

みな多忙を極めて大事なことが等閑になっている現代社会。幼い子供の一言が、「今、ここ」に生きることの大切さを伝えている。

大賞

本当にいいものはみんなタダでできているねー。

古里 素祐 ふるさと もとすけ 51歳 会社員

朝の澄んだ空気。夕焼けの美しさ。家族の笑い声。元気をもらえるいいものってタダでできているんですね。いつだったか母親が言った言葉です。

【 大賞寸評 】

思えば私たちが生きていく上で絶対に必要なものは、元から地球にあるものです。私たちはそれを「共有」することで生きている。その「共有」という概念を「タダ」という一見ネガにも映る言葉で表現したことにこの言葉の強さはあります。人間にとって本当に大切なことは何かを優しく気づかせてくれる、コロンブスの卵的大発見ですね。

優秀賞

おっぱいをあげてる時って、目でも抱っこしているんだね。

大熊 育子 おおくま いくこ 34歳 主婦

私が娘に授乳している時、小学生の息子が言った言葉です。娘を見つめる姿を「目でも抱っこ」と表現してくれたのが、とても嬉しかったです。

【 優秀賞寸評 】

お兄ちゃんの母親を真剣に見つめる視線に、ハッとさせられつつも、ほっこりした気持ちになる一言です。「目でも抱っこ」というオリジナリティあふれる言葉の発見は、まさに子どもならではですね。

親の言葉は、遅れて聞こえる腹話術

近藤 麻友 こんどう まゆ 26歳 専門学生

私が、「あの時、親の言う通りにしとけば良かった」と落ち込んでいた時に、兄に言われた言葉です。何となく分かったつもりでいるけれど、本当の意味を理解するのには時間がかかるものだと励ましてくれました。

【 優秀賞寸評 】

親の言葉のありがたみは、ある時不意に思い出される、という誰もが一度は経験することをチャーミングに表現してくれました。その場にいないけど、心の声として聞こえてくるという状況を、昔流行った「遅れて聞こえる腹話術」という楽しいたとえ話にすることで、格言の小難しさや嫌味な感じがなくなり、すっと心に届く言葉になりました。

審査員賞

泉麻人賞

つかれたときはなあ、緑のあるとこ行って「ぼよ〜ん」としときっ!

杉本 和歌子 すぎもと わかこ 30歳 無職

蓄積疲労によって体を壊し、仕事を辞めざるを得なくなった私に、母がかけてくれた一言です。おかげで力が抜けました。でもお母さん、「ぼよ~ん」ってどんな感じ?

【 泉麻人氏寸評 】

「「ぽよ~ん」でもなく「ぷにょ~ん」でもなく、「ぼよ~ん」という語感が素晴らしい。古里のお母さんのナマの声が伝わってくるような。

椎名誠賞

お前、一年前の悩み言える?

和田 崇史 わだ たかし 21歳 大学生

高校時代、親友からもらった言葉です。今考えると何てことないのですが、当時はちょっとした悩み事を世紀末のように深く悲観的に捉えていました。今は大学生となり、就職活動真っ只中ですが、この言葉に何度も救われています。

【 椎名誠氏寸評 】

人は常にいろんな悩みを抱えている。その当座は深刻だが、たいてい少し経つと何であんなに悩んだのだろうか不思議に思うことが多い。これまで気が付かなかったそんなことをこの一言が見事に教えてくれた。

黛まどか賞

”人生の長さは個人差のひとつ”だと思う。

高橋 京子 たかはし きょうこ 68歳 主婦

長女が39才で病死(脳腫瘍)した時、次女が言った言葉です。「背が高い人もいれば低い人もいるし、走るのが速い人もいれば遅い人もいる。」に続けて言った言葉です。

【 黛まどか氏寸評 】

医療の進歩により寿命は飛躍的に延びた。命は長いほど良いと考える人が多い中で、肉親を失った個人としての悲しみを越えて、長短よりも大事なことがあると気づかせてくれる透徹した言葉である。

大賞

明るい貧乏めざすわ!

関 美奈子 せき みなこ 59歳 会社員

釜石に住んでいる姪は、3月11日の大津波で5年前に新築したばかりの家を流されて、35年のローンだけが残りました。小学校入学目前の長男のために用意した机やベッドも全て流されました。何と言って慰めて良いのかと思いつつ、とにかく励まそうと電話したところ、彼女の力強い一言でこちらが励まされてしまいました。単純明快ですが、たくましい一言でした。

【 大賞寸評 】

「明るい」と「貧乏」という思いがけない言葉の組み合わせに、ハッとさせられました。お金に余裕がなくても、人は明るく前向きに生きていくことが出来る。不況が長引き、生活保護が社会問題になるこの時代に、とても意義深く、人を勇気づける力を持った言葉ではないでしょうか。実はこの言葉をおっしゃったのは、東日本大震災で被災された方です。明るい言い回しの奥に人間の強さが秘められていて、非常に重みのある言葉です。 

優秀賞

がれきじゃないよ。昨日まで大事なものだったんだ。

飯田 文子 いいだ あやこ 54歳 主婦

東日本大震災の"がれきのニュース"が流れたときに、中学生の息子がつぶやいた言葉です。彼らの世代がこの国を立て直してくれることを願ってやみません。

【 優秀賞寸評 】

大震災を実際に体験していないと、被災された方の心情を本当に理解することはできません。だからこそ、つねに想像する努力を忘れてはならないのだとあらためて気付かされました。なんの気なく使われていた言葉に違和感を感じた中学生。彼らが築いていく未来に期待したいですね。

バチャーかぶりかぶりいくとよか!

笠原 かおり かさはら かおり 35歳 自営業

私の祖母がよく言っていた言葉です。熊本弁です。「バチ(罰)は、かぶりながら進めばいい」という意味です。「悪いことをするとバチが当る」と言いますが、小さなバチを沢山受けながら育たないと、人の痛みや優しさもわからない人間になるんだと教えられました。大人になって親という立場になり、この言葉の深さを感じています。「バチャーかぶりかぶりいくとよか!」今でも祖母の温かい声が聞こえてきます。

【 優秀賞寸評 】

「悪いことをするな」などというきれいごとではなく、人間の弱さをふまえた真実の言葉ゆえの説得力があります。様々な人生の経験を積まなければ、たどりつけない言葉だと思います。熊本弁なのでパッと聞いても分かりにくいのですが、かえって気になって意味を知りたくなります。

審査員賞

泉麻人賞

なんで人は勝手に地球に線を書いていいの?

牧田 武 まきた たけし 39歳 団体職員

6才の息子が地球儀をくるくる回しながら、国境線を指差して言った言葉。何でも線引きしたがる人間社会の狭小さ、尊大さを考えさせられました。「きっとこの地球で人間が一番偉いと勘違いしているからだと思うよ」と答えました。

【 泉麻人氏寸評 】

もちろん、6歳の坊やに"領土問題"などの意識はないことでしょう。尖閣諸島や竹島のニュースが話題になる以前に送られてきた、という点でも興味深い。

椎名誠賞

きみはちきゅうというところにきたんだよ。たのしめよ!

小野 恵 おの めぐみ 47歳 主婦

私の出産に立ち会った息子(当時小2)が、生まれたばかりの自分の妹に言った言葉。生まれたての赤ちゃんは、まるで「宇宙人」みたいに見えたのでしょうか。私は「そうか、地球でのひとときを楽しめばいいんだわ」と、妙に気が大きくなり、育児に対してすっと肩の力が抜けたことを覚えています。今では小学生になった娘ですが、毎朝ランドセルの後ろ姿に「たのしめよ!」とエールを送っています。

【 椎名誠氏寸評 】

小さな子ならではのヒトコト発想にはいつも感心しているが、こんなにスケールのでかい赤ちゃんお迎えの言葉ははじめてだ。まさに発想がバクハツしている。

黛まどか賞

崖っぷちまで行った者だけが飛べる

森西 志保子 もりにし しほこ 61歳 日本語教師

数年前、母からこの言葉を聞いた時はドキッとした。それまで専業主婦として平穏な人生を過ごしてきたとばかり思っていた母が、人生の黄昏を迎えてそんなことを考えていたとは。崖っぷちまで行く覚悟がなければ、そこにとどまるしかないのだと。いったい母にどんな体験があったのか。それとも平穏な人生などただの幻想にすぎないということか。

【 黛まどか氏寸評 】

「自己実現」という言葉が流行り出してから久しいが、安全な場所に身を置き、不平不満を言いながら飛べないでいる人が多い。苦しい時代を生き抜き、自らの体験を経て生まれた言葉は肝っ玉が座っている。

大賞

時間ってあんがい、柔らかいものよ。

櫻井 郁子 さくらい いくこ 35歳 会社員

私と弟を育てるために、昼は工場勤務、夜はファミリーレストランでバイト。まさに寝る間も惜しんで働きつづけた母も還暦を迎え、今は平穏な日々をすごしています。あの忙しい中、ご飯も手作りだったし、旅行にも連れて行ってくれたし、八つ当たりされた記憶もない……。いったいどうやって時間をやりくりしていたの?と、たずねたときの一言です。

【 大賞寸評 】

「時間」と「柔らかい」という意外な言葉を組み合わせた表現が秀逸です。子育てに大変なご苦労があったはずなのに、それを感じさせない力の抜けた言い回しが、かえって強い説得力を生んでいます。現在私たちの社会は、待ったなしで取り組まねばならない様々な問題に直面しています。この言葉はくじけそうな困難を前にしても「もっと工夫してみよう。必ず解決の道はあるはずだ」という勇気をくれます。

優秀賞

時間、どこ行っちゃったんだろうね?

吉田 みゆき しだ みゆき 49歳 主婦

姉が出掛ける前「時間がない!」と言いながら慌しく身支度していました。それを見ていた私の息子(姉にとっては甥)がなにかを捜すようにキョロキョロしながら言った言葉です。

【 優秀賞寸評 】

時間って、不思議ですね。短くなったり、長くなったり、生まれたり、なくなったり。それを素直に表現していて、誰もが共感してしまう言葉ではないでしょうか。テーマになっていることは大賞と近いのですが、こちらは子どもが言った言葉で、ユーモラスな表現になっているところが面白いですね。

サボテンからトゲが生えているのではなく、サボテンにはトゲが刺さっていると思えば、とげとげしい人にも優しくなれる。

那須 桂 なす かつら 38歳 会社員

トゲのあることばかり言う友人のことを、母に愚痴ったときに言われた言葉。生まれたときからとげとげしい人なんていないのだと母に諭されました。この言葉のおかげで、幅広い人に対して、優しくなったと思います。

【 優秀賞寸評 】

手帳大賞史上最も長い、ユニークな表現の受賞作品です。「サボテンのトゲは生えているのではなく、刺さっているのだ」という逆転の発想が、新しい発見につながりました。誰かを悪く言う前に、立場を変えて色んな角度から考えてみる。そんな人間関係における大切な姿勢を教えてくれる言葉です。

審査員賞

泉麻人賞

子連れの熊がこわいのを、子供ができて初めて理解した。

中田 諭志 なかた さとし 49歳 コピーライター

子育て真っ最中だった頃の嫁さんの言葉です。歩行者が肩にかけているバッグの角、坂道を猛スピードで下る自転車、不意に近づいてくる酔っぱらい。子供を抱いて歩いていると、それらは我が子に危害を及ぼすかもしれないものだと気付いたそうです。今でも必要とあれば一瞬もひるまず、身を挺して我が子を守るその姿は、最高に優しく、最高に狂暴です。

【 泉麻人氏寸評 】

マンガ的な絵が浮かぶユーモラスさと身体を使った体験者ならではのリアルさに魅かれました。くすっと笑った後、愛情の凄味がじんわりと伝わってくる。

椎名誠賞

ばっちゃん、今日はいっぱい死んでるな。

東尾 緯子 ひがしお あやこ 67歳 主婦

「ばっちゃん、人間が死んだらどうなるの?」「おほしさまになるのよ」田舎の夜空を見上げて「ばっちゃん、今日はいっぱい死んでるな」

【 椎名誠氏寸評 】

人が死んだらお星さまになると世界中で子供らへ言い伝えている。美しく夢があっていい。田舎の星空を見上げながら、少年が正直に今思っていることを話している光景が目に浮かぶ。

黛まどか賞

「ただいま」と言ったところに、お母さんはいてくれる。

寺岡 祐輔 てらおか ゆうすけ 70歳 無職

いくつになっても母親というのはそういう存在です。私は末期のがん患者ですが、向こうに行っても亡き母がいてくれると思うと心が安らぎます。

【 黛まどか氏寸評 】

母とは、いつもどこかで我が子の帰りを待ち続けているものなのだ。母が待っていてくれるという大きな安心感の中に、私たちは日々生かされている。

大賞

土の中に絵の具があるのかな

髙岡はるみ たかおか はるみ 67歳 主婦

春がきて、赤やピンクのチューリップ、紫や黄色のパンジー、うすむらさきのムスカリ等が、花壇に咲き乱れていました。その色とりどりの花を見て、4才の息子が言った言葉です。「なるほど。本当に土の中に絵の具があって、さまざまな美しい色の花を咲かせるのかも」そんなことを思った春の一日でした。

【 大賞寸評 】

なんて素敵な発想でしょう!夢があって。ファンタジックで。しかも、ただ表現として優れているわけではなく、そこに深い意味も読み取れます。考えてみれば、土は様々な植物を育み、美しい花を咲かせる力を持っている。この力を"絵の具"ととらえれば、あらためて土の大切さ、自然の大切さを私たちに気づかせてくれます。

審査員賞

泉麻人賞

自分を探す暇があったら自分を磨く。

斎藤 千恵子 さいとう ちえこ 38歳 司書

図書館で『自分探し』というタイトルのDVDを目にした時、「近ごろ何となく自分探しの旅に出る人が多いけど、自分は探すまでもなく、ここにいるんじゃないかな。どこに行っても結局自分が移動しているだけだから、何も変わらないんじゃないかな。だったらその時間を使って、自分を磨く努力をしたほうがいいんじゃないかな」そんなことを思いました。

【 泉麻人氏寸評 】

"自分探し"という言葉が軽々しく使われる風潮を巧くとらえている。探せない人が自分を磨くのは難しいとはいえ、外より先に内を見つめるのは大切なことだ。

椎名誠賞

とってもたのしみなの。わくわくしてくしゃみがでそうだよ。

石渡 桂子 いしわた けいこ 40歳 建築士

保育園に通っていた頃に姪が口にした言葉です。その時に姪が何を楽しみにしていたのかは忘れてしまいましたが、今でもこの可愛らしい表現は心に残っています。

【 椎名誠氏寸評 】

目を通した瞬間、思わず拍手をしてしまった。幼い子どものこのすばらしい感覚こそ言葉のタカラモノだと思った。

黛まどか賞

頭に入れれば重くない。

白石 幸則 しらいし ゆきのり 54歳 自営業

40年前、中学生になった僕に祖母が贈ってくれた言葉です。「手で持つ物は重いけど……」人差し指で自分のおでこをつつきながら「ココに入れたものはちっとも重くない。だからうんと勉強しなさい」とニッコリと笑いました。祖母はもう亡くなりましたが、ものごとを教えるのが巧みな人でした。昔の年寄りはたいしたものです。私も3人の子どもたちに同じように伝えました。

【 黛まどか氏寸評 】

受験の年頃には、誰もが一度は「一体何のために勉強するんだろう」と悩むはず。「あなたの将来のために…」などという尤もらしいどんな説明より、おばあちゃんのこの一言には説得力があります。その時のおばあちゃんのしぐさ、笑顔と共に、素朴であたたかいこの言葉が印象に残りました。昔のお年寄りの言葉には、知恵が詰まっていますね。

エントリー賞1

幸せは、洗濯物がかわくこと。

吉村健二 よしむら けんじ 56歳 自営業

テレビから「しあわせって、何だっけ何だっけ~」というCMソングが流れてきたときに、洗濯物をたたみながら母親が言った言葉です。

【 エントリー賞寸評 】

洗濯をしたことがある方なら、誰もが共感できる言葉ではないでしょうか。天気がよくて、あっという間にかわいてしまったときの爽快な気分!洋服が風にゆれて、ほのかに洗剤が香り、仰ぎ見れば青空に白い雲……。案外、人の幸せって、日常のささいなところにあるのかもしれません。

エントリー賞2

手帳には温度がある。

川原 亮 かわはら りょう 21歳 デザイナー

ある日、スケジュールをケータイで管理する私と手帳にまとめる友人とで、意見が分かれました。「もっと便利な方法があるんだ」と主張する私に対して、友人は「紙の質感、筆圧のニュアンス、ページを送る時の微かな風……手帳には温度がある」と言いました。それ以来、私も手帳を持ち歩くようになりました。

【 エントリー賞寸評 】

実は、受賞作品とすべきかどうか議論になりました。手帳の会社が、手帳をテーマにした作品を選ぶのはどうか?という意見があったからです。けれども、スマートフォンが話題になった今年にタイムリーな言葉だし、何より手帳のよさを"温度"と表現したのは巧みだと評価され、見事受賞となりました。

大賞

一番の「エコ」は、とことん、使うこと。

見附 照二 みつけ しょうじ 48歳 介護手伝い

友人から車を買い替えるべきかどうかを相談された時に、私が言った言葉です。新車にすると、確かに燃費は良くなります。けれども、新しい車を一台つくるには、ものすごくたくさんのエネルギーが必要です。そう考えると、買い替えは単純に「エコ」とは言えません。むしろ大事に乗り続ける方がいいのではないかと思いました。

【 大賞寸評 】

最近、世の中には“エコ”を謳った製品があふれています。買い替えを勧める広告もよく目にします。そんな風潮の中でふと立ち止まり、あらためて本当に大切なことを見抜いたことがとても素晴らしいと思います。口にしたときの語感もよく、環境キャンペーンのスローガンとしても使えそうな言葉です。

泉麻人賞

人生、コスプレ。

江崎 正美 えさき まさみ 38歳 看護師・大学生

かつておたんこ泣き虫ナースだった私に、先輩がくれた言葉です。「白衣を着ている時は看護に徹しなさい。笑顔で、しなやかに、優しく、強くありなさい。そして、私服では女性であることを楽しみなさい。人生、コスプレ。服の数だけ色んな役になったら、それだけ沢山の“引き出し”を持つ人(人の気持ちを理解できる人)になれるから」

【 泉麻人氏寸評 】

マニア用語(コスチュームプレイ)から広まった軽薄な印象のフレーズとはいえ、様々な場で使える「力」がある。「人生」と「コスプレ」の語感のギャップも面白い。

椎名誠賞

男でも子供や!

小林 公恵 こばやし きみえ 45歳 主婦

ある日、6歳の息子が、大したケガでもないのにワァーワァー泣くので、「男は泣くな!」と言いました。その時に息子が返してきた言葉です。思わず「そうやな」ってうなずいてしまいました。

【 椎名誠氏寸評 】

これはさりげないようでいて、案外思いがけないほど深い言葉だ。こういう言葉は初めて聞いたような気がする。なんとなく「男はつらいよ」を連想した。

黛まどか賞

許せばいい。

河内 友恵 かわうち ともえ 39歳 主婦

現在中1の息子が5歳の時のことです。ある日、何度注意してもいたずらばかりするので、父親が怒りました。「口で何べん言っても、たたいてもわからんのなら、お父さんは一体どうすればいいんか!?」息子は涙をぽろぽろ流しながら一言。「許せばいい」小さな事をいちいち怒るなという事か?と家族みんなで大笑いでした。

【 黛まどか氏寸評 】

世界中で不毛な闘争がいまだに止むことはありません。報復に継ぐ報復は、憎しみの連鎖を招くだけです。「許せばいい」小さなお子さんが日常で発した何気ない言葉が、大人の胸に刺さりました。

エントリー賞1

答えは問題より沢山あるもんだ。

海老沢 嘉 えびさわ よし 50歳 会社員

まだ若かった頃の話です。仕事がとても忙しく、しかも次から次へと問題が発生して対応に困っていた時に、大先輩に言われました。当時は「なにを呑気に」と思いましたが、この歳になって「確かに答えの無い問題はなかった」と実感しています。

【 エントリー賞寸評 】

実際に経験を積み重ねてきた人の言葉は、さすがに重みがあります。仕事上だけでなく、人生において悩んだときにも力になる言葉だとおもいます。「どうにかなるよ」と単純に言うのではなく、答えと問題は一対だという思い込みを覆す意外な言い回しも巧みです。

エントリー賞2

僕は人の隣に立ちたい。

松尾 恭子 まつお きょうこ 35歳 会社員

6才の息子がキッチンで私の手伝いをしている時のこと。主人が息子のノートを見て「勉強が進んでないじゃないか。ちゃんと勉強しないと人の上に立てないぞ!」と言いました。すると「これ (手伝い) が勉強!僕は人の隣に立ちたいもん」という答。感動しました・・・…。

【 エントリー賞寸評 】

審査員一同、感動しました。なるほど、人の上に立とうとするよりも、人の隣に立とうとする方が、よほど立派なことかもしれません。このような考えを持っていれば、みんなもっと幸せになれるのではないでしょうか。しかも言ったのは、6歳の男の子!まいりました。

大賞

努力したら、できるように産んである!

上利 史代 あがり ふみよ 41歳 主婦

高校入試を目前にしたある日。伸び悩む成績表を前に「なんでもっと頭良く産んでくれなかったのか・・・」とぐちをこぼした私に、母がキッパリと言い切った言葉です。何も言い返せませんでした。その後母を信じてひたすら努力し、2ランク上の高校に、奇跡的に合格!現在私も小学生の娘をもつ母となり、この言葉を使わせてもらっています(笑)

【 大賞寸評 】

この、問答無用の力強さ!何の根拠もないのに「そこまで言い切るなら、信じて努力してみるか」と思わせるパワーがあります。成績が悪いことを親に責任転嫁しようとした娘への見事な切り返しですが、きちんと応援の言葉にもなっているところが素晴らしいと思います。

泉麻人賞

青春の副作用

安田 奈月 やすだ なつき 44歳 主婦

14才の娘は、パソコン・ケータイ・アイドル等々、青春を楽しんでいる様子。先日もジャニーズのアイドルの話で友人と大盛り上がりでした。そこで母の私が「少しは宿題やったら?」と注意すると、娘が一言。「お母さん、青春の副作用だから仕方ないよ!」

【 泉麻人氏寸評 】

何が本作用なのかよくわからない、アバウトな文法ながら、思わず頷いてしまうような説得力がある。他の場でも流用できるキャッチーなコピーだと思う。

椎名誠賞

だまってついていかない。いろいろ言いながらついていく。

吉村 金一 よしむら きんいち 50歳 学習塾講師

「俺を信じて、だまってついてこい」それがプロポーズの言葉でした。九州男児の私としては男らしく言ったつもりでしたが、妻の返事はこんな具合でした。あれから24年。あの時の言葉のとおり、いろいろ言いながらついてきます。

【 椎名誠氏寸評 】

長い間「だまって俺についてこい」が日本の頼れる男だというはなはだ一方的な、しかも男に都合のいい根拠のない風潮にどきっとする一言。背後に愛情が見え隠れしてすばらしい。

黛まどか賞

「努力」はたし算。「協力」はかけ算。

東海林 佳奈 とうかいりん かな 13歳 中学2年生

「努力はどんどん増えていって“+(プラス)”になる。けれども協力は、1人でも協力しない人がいると“0”になる」という意味。この言葉は、私たちが全然協力していない時に、部活の先生が言ってくれたものです。いまでもとても記憶に残っています。

【 黛まどか氏寸評 】

北京オリンピックで見事銅メダルを勝ち取った陸上男子400mリレー。一人一人の「努力」と共に、バトンを確実に受け渡すという「協力」があってこその勝利でした。

エントリー賞1

画面より本物をきれいにしたいなぁ・・・。

武田 善一 たけだ よしかず 41歳 カメラマン

ハイビジョンテレビに鮮明に映しだされた富士山を見て、友人が発した言葉。一向に改善されない富士山のゴミ問題を憂えての言葉であろう。いつか世界遺産に登録されるくらいに富士山がきれいになり、その姿をハイビジョンで見られる日がきたら最高ですよね・・・。

【 エントリー賞寸評 】

普通なら「このテレビの画面、きれいだね」で終わるところですが、言われてみれば本当にその通りですね。うなずくと同時にハッとさせられました。環境問題について、素直に考えさせられる一言です。

エントリー賞2

ばくはつするほどあそぶ

熊谷 牧子 くまがい まきこ 38歳 主婦

この言葉は、息子が小3の時に冬休みの計画表に目標として書いたものです。今の世の中にこんなことを書くヤツいないだろーっとぶったまげました。けれども、エネルギー全開、自由人の息子らしい言葉に「そうだよなあ。子どもは遊ぶ生き物だよなあ。好きなだけ遊べー」と感心してしまいました。(思い出として写真に撮って大事に保存しています)

【 エントリー賞寸評 】

“ばくはつ”と“あそぶ”。本来組み合わせない言葉ですが、子どもが全力で遊ぶ光景が鮮やかに浮かんできます。すべての子どもがこれくらい元気だと、この国ももっと元気になるのではないでしょうか。

大賞

お前は意味だけで生きてんのか。

岸本 芳貴 きしもと よしき 54歳 公務員

若い頃「生きている意味がわからない」「生きている意味がない」と落ち込んだときに、年配の方から言われました。そう、意味がなくともちゃんとこうして生きています。飯や酒がうまいことや好きになったりすることに、そもそも意味なんてないですよね。

【 大賞寸評 】

私たちは「そんなこと意味がない」とよく口にします。けれども、意味を考えずにやってみることにこそ価値があり、はじめて見えてくる何かがあるのかもしれません。生きていく上での示唆に富んだ素晴らしい言葉だと思います。様々な経験を重ねてきた年配の方ならではの、人生の重みも感じられます。

泉麻人賞

二巻の始まり。

橋立 英樹 はしだて ひでき 40歳 公務員

私が仕事で大失敗し、「一巻の終わりだ」と嘆いていたら、当時小学一年生だった息子が言った言葉。「一巻の終わり?じゃあ、二巻の始まりだね」と。

【 泉麻人氏寸評 】

“ことわざ調”の簡潔なフレーズが目にとまった。たぶん発言者の息子さんは元ネタの“一巻の終わり”の意味は知らなかったのだろうが、そのズレがまた面白い。

椎名誠賞

みんなを守る勉強をしとるんや。

片岡 基記 かたおか もとき 42歳 会社員

ウルトラマンのビデオばかり見ている4歳の息子に「ビデオばっかり観てたらアンポンタンになるで。少しは勉強でもしたら?」と言ったときの返事がこれ。その勉強は確かに大切だ。つまらんこと言ってゴメン。

【 椎名誠氏寸評 】

勉強しろ勉強しろとのべつまくなしのうるさい日本の教育社会の中で、なんとまあスケールの大きなヒトコトではないか。

黛まどか賞

足踏みをしていても靴はへる。

古賀 賢司 こが けんじ 34歳 会社員

転職するかどうか迷っていたときに、背中を押してくれた父親の一言。大きな一歩を踏み出すことができました。今でも後悔はしていません。

【 黛まどか氏寸評 】

時には悩んだり立ち止まったりすることも前進の一部ではありますが、足踏みのままでは、一向に進みません。抽象的な話ではなく、具体的に“靴”に喩えた身近な話に、説得力とほのぼのとした愛情が感じられました。

エントリー賞1

人が生活している音が聞こえてうれしいです。

菊池 洋司 きくち ひろし 60歳 自営業

階下に住んでいるおばあちゃんに「いつも騒がしくしてすみません」と言ったところ、気持ちの良い返事に少しビックリ。さすがだと思った。

【 エントリー賞寸評 】

迷惑に感じるはずの物音が、お年寄りの方にはうれしく聞こえるという意外性にハッとさせられました。ご近所へのさりげない心遣いも素敵です。最近心ない事件をよく耳にしますが、こんな暖かい言葉があふれる世の中になるといいですね。

エントリー賞2

元気もうつるといいのになぁ〜。

河原 洋子 かわはら ようこ 54歳 主婦

インフルエンザが学校で大流行。高熱で苦しんでいた当時8歳の長女が、元気で病気知らずの弟を見て言った一言です。病気はうつるのに……元気もうつって欲しいよね。我が家の20年前のひとこまです。

【 エントリー賞寸評 】

「元気がうつる」という発想が素晴らしいと思います。早く病気が治って欲しいという切実な思いもよく表れています。この言葉の通りに元気がうつって、みんなが元気に暮らす世界になればいいな、なんて想像してしまいました。

大賞

おれが地球ならお前はいらんわ。

神尾 知子 かみお ともこ 29歳 派遣社員

今から8年前、兄を助手席にのせて駅に向かっていたときのこと。何気なくタバコをポイッと窓から捨てた時に兄から言われました。それがきっかけで、今では灰皿がある場所でしか吸いませんし、携帯灰皿もつねに持っています。こんなふうに叱ってくれたのは兄だけだったので、妙に嬉しく思ったのを覚えています。

【 大賞寸評 】

近年、ますます関心が高まっている環境問題。難しい理屈や道徳を並べるのではなく、地球の立場になってさらりと口にした言葉だからこそ、かえって心に響き、素直に行動を促す表現になったのかもしれません。人に注意されると思わず反発したくなるものですが、この巧みな言い方には誰もが反省してしまうことでしょう。

泉麻人賞

きょうはあしたがたのしみ。

服部 恭子 はっとり きょうこ 39歳 主婦

息子が5歳当時、夏休みに新幹線でおばあちゃんの家へ行くのが待ち遠しくて日記に書いた一文です。乏しいボキャブラリーの中から精一杯の待ち遠しさを表現したのだと思います。大人のわたしには新鮮なひとことでした。あまりいいことがなかった日には、「きょうは あしたがたのしみ」と言ってみると、なんだか元気がでます。

【 泉麻人氏寸評 】

簡単な言葉だけれど、オトナが頭で考えても浮かんでこない‥・ようなところが気に入りました。「きょう」と「あした」の間にも、五歳の幼児ならではの“長い距離感”が感じられます。

椎名誠賞

みんながわかるようにひらがなでおはなしして。

山田 実 やまだ みのる 70歳 自営業

孫娘が4歳の時、私たち祖父母が幼稚園に迎えに行った時。帰りの車の中で「いま何語でおはなししているの?」「みんなにわかるようにひらがなでおはなしして」と言われました。当時は不景気を嘆く会話ばかりでしたので、外国語とか漢字に思えたのでしょう。今の時代こそひらがなで話し合うことが大切だと反省させられました。

【 椎名誠氏寸評 】

大人たちの会話というのがいかにせせこましく早口で文法を無視したしゃべりかたをしているかということがよくわかるヒトコト。はっとして居ずまいを正さなければならないような気持ちになった。

黛まどか賞

おらいの孫は、んなこと言わね!!

紺野 昇 こんの のぼる 24歳 教諭

「オレオレ詐欺」の電話を受けたときに祖母が言った一言です。何かと物忘れが増えた祖母ですが、孫の私たちをしっかり見てくれているのだと驚かされました。まだまだ元気でいて欲しいものです。

【 黛まどか氏寸評 】

家族、学校、職場‥・現代社会のあらゆる場面で欠如しているのが、この絶対的な信頼関係。そこにつけ込んだのが「オレオレ詐欺」。おばあちゃんのこの素朴な一言は重い。

エントリー賞1

私のこと、本物のおめめで見て!

長谷川 知子 はせがわ ともこ 31歳 主婦

運動会の日、ビデオを抱えながら「我が子の晴れ姿を!」と会場を走り回る私の姿を見た娘が言った一言です。周りにはビデオを抱えたお父さんや、お母さんの姿がたくさんありました。「レンズ越しじゃなく、生(なま)の私を見て!」という子どもの素直な気持ちに触れ、とっても反省させられた出来事でした。

【 エントリー賞(1)寸評 】

子どもは両親の優しいまなざしに、限りない愛情を感じている。そんなことにあらためて気づかされる一言です。私たちはいつも子どもたちを“本物のおめめ”で見ているでしょうか?

エントリー賞2

"誰か"とは、自分のことである。

石川 純子 いしかわ じゅんこ 69歳 主婦

昔、学校の掃除の時間でのこと。その日はあまりに寒くてバケツの水を誰も取替えに行きたがらず、いつまでも泥のような水で雑巾をゆすいでいた。皆、誰かが行けばいいのにと思っていた、すると先生は全員を叱り、黒板にこの言葉を書いた。その後、この言葉のおかげで私は何事も嫌がらずにできるようになり、老親3人の介護も苦に思わなかった。

【 エントリー賞(2)寸評 】

「きっと誰かがやってくれる」「それは誰かの責任だ」人はそんな風に思いがちです。この言葉のように一人ひとりが「自分がやらなければ」と考えるようになったら、世の中はどんなに変わることでしょう。

大賞

大丈夫!またすぐに『青』になるから。

斎藤 里織 さいとう さおり 31歳 主婦

運転していたら信号が変わってくやしがる父親に、2歳の息子が言った一言です。いつの間にか時間に追われる大人になってしまったことを痛感させられました。いまの気持ち、息子には忘れないでほしいなー。

【 大賞寸評 】

子どもはやはり物事の本質を見抜く天才だと思わされる一言です。きっと一瞬でご主人の気持ちを和らげたことでしょう。また解釈を広げれば、困難にぶつかった人に対して、「必ずまた前に進めるときが来るよ」と勇気付けられる言葉にもなりうると思います。

泉麻人賞

いい汗は風呂を旨くする

樫山 昭章 かしやま てるあき 55歳 NPO法人勤務

土木作業員を始めた時に現場の人たちが言っていた言葉。太陽の照りつける現場での作業は毎日が汗タラタラ。帰り際に「ビールの前の風呂がうまいぞ」とよく言っていた。もちろん、汗をかいた分だけ風呂に気持ちよく入れるという意味。そういえば、学生時代、陸上競技の練習の後のシャワーもうまかった。

【 泉麻人氏寸評 】

カラダから出た言葉、ならではの強さがある。また“汗入りの風呂”を連想するような危うさもあって面白い。体育会系名文句、とでもいいましょうか。

椎名誠賞

バァちゃん、テレビの人でなくて良かった。

田中 裕美 たなか ひろみ 28歳 パー卜

TVを見ているとき、4歳の息子が好きなタレントさんに向かって「僕のところにも来てくれるとうれしい」と言いました。そこで「TVに出ている人にはなかなか会えないんだよ」と教えてあげると、息子が返してきた言葉です。心が温まりました。

【 椎名誠氏寸評 】

これだけでは意味がわからないだろうけれど添えられたコトバの背景を読むとふんわりしたやさしい気持ちが伝わってくる。こういうのを生きたコトバというのだろう。

黛まどか賞

お茶わんを割るのは洗う人だけ

伊藤 千恵子 いとう ちえこ 51歳 会社員

近所に住む息子の同級生のお母さんが話してくれた言葉です。彼女が茶碗を割ってしまい、それを同居している姑さんに謝ると「お茶碗を割るのは洗ってくれる人だけ。洗わない人は割ることもないのだから、謝ることないのよ」と言ってくれたそうです。

【 黛まどか氏寸評 】

失敗するのは何かをやっている証。茶腕を洗わなければ割ることもない。しかしその原点を忘れて、失敗のみを咎めるのが世の常。茶碗を洗い続けてきた人だからこそ言える名言。

エントリー賞1

この子の顔には、この鼻が合っている

安達 優子 エントリー賞1

母方の祖父の言葉です。思春期の頃、鼻が低いのがコンプレックスで、それを母に訴えたことがありました。後日、母が「この子の鼻が低くて…」とおじいちゃんにこぼしたら「この子の顔には、この鼻が合っとる」と言ってくれたそうです。自分の顔、鼻を好きになれるきっかけをくれたおじいちゃんに感謝です。

【 エントリー賞寸評 】

なんと温かい言葉でしょう。お孫さんへのあふれんばかりの愛情が感じられます。また、大切なのは優劣ではなく、自分らしさだという普遍的な真理も気付かせてくれます。

エントリー賞2

それでも家計は回っている

馬庭 直人 まにわ なおと 28歳 自営業

リストラされた私。出勤する妻を、寝癖のついた顔で見送る朝の玄関。恐れ多い妻の一言に思わず「はは−<(_ _)>−」

【 エントリー賞寸評 】

リストラという厳しい状況にも決して暗くならず、逆にユーモアを感じさせる一言。奥様の陰の頑張りや上手なやりくり、そのすべてをさりげなく包み込んだ表現は見事です。

大賞

立ちどまることもひとつの「動き」である

渡部 裕香 わたなべ ゆか 17歳 高校生

中学校の全校集会にて美術の先生が全校に向けて言っていた言葉で、ちょうど人間関係で悩んでいた時だったので、心に残る言葉になりました。その後も、この言葉のおかげで悩んだり、苦しんだりした日々も、価値あることのように思えるようになりました。

【 大賞寸評 】

人は悩み、判断に迷い、立ち止まることがよくあります。そして立ち止まっていること自体に、また悩んでしまうのも人間です。この言葉にはそれをポジティブにとらえ、勇気付けるあたたかさがあります。短い一言ですが、きっとたくさんの人の力になる素晴らしい言葉だと思います。

浅井 愼平賞

子どもは親の思いとおりにならないけれど、心配どおりにもならないものだ。

常谷 啓子 じょうたに けいこ 41歳 会社員

長男が5才の頃、あまり文字などに興味を持たないことが気になっていました。そのことを直接相談したわけではないのですが、ちょっとしたお茶のみ会の中で近所の先輩お母さんから出た言葉でした。あれから10年近くたった今でも、子どものことを考えるとき、この言葉を思い出すと腰をすえることができます。

【 浅井先生コメント 】

親と子のあり方は永遠のテーマです。この言葉はそんな親子の平穏を表していてほっとしました。

麻木 久仁子賞

思うにどこ向いていようと、自分が向いている方が前なんよ、きっと。

馬場 朋子 ばば ともこ 28歳 会社員

私は心の病気で入退院をくり返していました。混乱のさなか私の「私はどこ向いて走っているんだろう」というメールに対する大学時代からの友人からの返信。当時はただただありがたく夢中でメモしましたが、回復しつつある今、改めて、私の道を生きよう、と思っています。

【 麻木先生コメント 】

未来を知っている人なんて誰もいない!運命を信じて前進あるのみ!元気がでました!

黒鉄 ヒロシ賞

あなた、ここにお座り下さい

御所園 鉄夫 ごしょぞの てつお 52歳

夫婦ゲンカで夫が妻に「出て行け」とどなった時、妻が「私の大切な物を一つ持って行きます」と言って風呂敷を広げて上記の言葉を一言。この話は、知人から聞いたものです。

【 黒鉄先生コメント 】

ユーモアの分母の上に愛と余裕が乗っている。余裕はよく出来たこの話の詮索をも嗤う。

村松 友視賞

「あー」「まー」「ぶー」、三つの言葉で君は世界の全てを表現してしまう

渡辺 陽子 わたなべ ようこ 37歳 主婦

主人が一歳の娘に対してつぶやいた言葉です。以来、この言葉は私の中で大切な言葉となりました。

【 村松先生コメント 】

幼児の言葉の大きさ、深さ、広さ、重さ‥・ここから人間は無駄な言葉を覚え、問題を細分化させ、堕落してゆく。

エントリー賞1

母の日ってお母さんが一人もいなくなる日なんだよ

大山 瞳 おおやま ひとみ 59歳 主婦

高校時代の恩師の言葉です。母の日は全ての人が母を思う日だと教えて下さいました。“子供は母を母もまたその母を、その母もさらにそのまた母を思い感謝をする日なのだよ。全ての人が母を思うから母の日には、お母さんはどこにもいなくなる日です”母になってもはや三十年、母を失って二十数年この言葉があるために、長い闘病の果てに逝った母を心から思える日になっています。そして、その母も幼くして死別した母に天の国でめぐりあえたことでしょう。

【 エントリー賞寸評 】

母親への愛情は、地球上の全ての人に共通のもの。“お母さんがひとりもいなくなる”という逆説的な言い方で、かえって母親への愛を強く表現しているところが巧みです。

エントリー賞2

息を吸うのと吐くのとどっちが大切か答えられるか?

竹林 陽子 たけばやし ようこ 36歳 会社員

夫婦ゲンカで、私が思わず「義母さんと私とどっちが大切なの?」と言ってしまった後、旦那にこう答えられました。思わず笑ってしまったと言うか、妙に納得させられた気がしました。

【 エントリー賞寸評 】

思わず納得!それに尽きます。キツイ言葉をぶつけがちなケンカの中で、奥さんを上手にかわす一言は、お見事です。ご夫婦のほほえましい関係も伝わってきます。