こんにちは。松浦弥太郎です。
自分の名前。
子どもの頃から、当たり前のように書いていますが、
いつまで経っても、何度書いても、
自分が納得できるような字が、
僕はなかなか書けませんでした。
「暮しの手帖」で働いていた時のことです。
「私はね。字を書くのがなによりも大好き」と、
創立者の大橋鎭子さんがおっしゃられました。
「暮しの手帖」の特集のタイトル字や、
人気連載の「すてきなあなたへ」の見出し字は、
鎭子さんのなんとも言えない魅力的な手書きで、
毎号書かれていて、僕はその字が大好きでした。
ある日、勇気を出して、鎭子さんに言いました。
「鎭子さん、松浦弥太郎と書いていただけませんか」と。
すると、「あなたの名前?いいわよ」と微笑んで、
松浦弥太郎とスラスラっと書いてくださいました。
鎭子さんが書いた松浦弥太郎という字は、
上手いとか下手ではない、可愛らしさに満ちた、
これが自分の名前かと思うくらいにすてきな字でした。
それからの僕は、
その鎭子さんが書いてくれた松浦弥太郎という字をお手本に、
せっせと練習をしました。毎日のように。
やっと最近です。
自分が書いた名前の字に親しみを持てるようになりました。
鎭子さんほんとうにありがとうございました。
鎭子さんが書いてくれた名前の字は僕の大切なお守りです。
それではまた。
P.S. 僕の手帳の品番は47番です。