2021/03/31

今日もていねいに。13

こんにちは。
松浦です。

淡々と毎日、暮らしや仕事をしながら、
何度も頭の中でつぶやくことがあります。
それは「手に勝る道具なし」という言葉。
手はほんとうに素晴らしい道具です。

今日も便利なものが次から次へと生まれています。
新商品、新システム、新技術、新サービスなど。
私たちの暮らしのまわりはいつも新しいものだらけです。
新しいものは人を嬉しくさせる魅力に溢れているので、
学びながら、うまく暮らしに活かせれば、
それはそれでしあわせなことといえるでしょう。

しかし、便利なものばかりに偏ると、
不便なことや困ることがひとつも無くなり、
時間もかからず、これまでしてきた工夫をしなくてもよくなり、
時間が余ることでやることも増えて大忙しです。
そして、心を働かせて丹念にゆっくり生み出すことの楽しみが、
日々の暮らしから無くなってしまいそう。
そんな暮らしはあじけないものです。

そこで思うのが「手に勝る道具なし」という言葉。
便利さや新しさからちょっと離れてみて、
不便や困りごとを楽しむ心の余裕もときには大切です。
「何も持っていなくても、このふたつの手さえあれば、
なんとかなるさ、なんでも出来る、やってみよう」とつぶやくのです。

毎日、自分の手を見つめて感謝をするこの頃。

それではまた。

今日もていねいに。

松浦弥太郎

エッセイスト、クリエイティブディレクター

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