みなさん、こんにちは。
お元気でしょうか。
すっかり春めいてきましたね。
つい先日のことです。
散歩気分で生まれ育った家を訪ねてみました。
もう何十年ぶりのことです。
あの日あの頃の風景が、
すっかり変わっていました。
家は無くなり、
コインパークになっていました。
ふらふらと近所を歩いて、
懐かしい風景はないかと探しました。
けれども、ほとんどが新しくなっていて、
自分の記憶と重なるものはほんのわずかです。
昔に比べたら、どこも小ぎれいになっています。
あっちに行ったり、こっちに行ったり、
知っているあの道この道をうろうろと歩いていると、
あることに気づきました。
風景は変わっているけれど、
道というか地面はまったく変わっていません。
小道や路地といった細い道ほど(迷路のような)、
地面のでこぼこや模様のような表情はも昔のままです。
アスファルトではない砂利道もそのまま残っていました。
ここで転んだし、ここに落書きをしたし、
ここで遊んで、ここで泣いたり笑ったりしたなあと、
道からいろいろなことを思い出しました。
まだ幼かった自分がヨイショヨイショと歩いた道。
学校の帰りに友だちと喧嘩して泣きながら歩いた道。
好きだった同級生と一緒に歩いた道。
時代が過ぎて風景が大きく変わっても、
ほとんどの道はそこにそのまま残っています。
その日の夜、
歩きながら思い出したこと、
感じたこと、考えたことを日記に書き残しました。
忘れかけていた自分が好きだと思っていた道が、
こんなにたくさんあったんだと嬉しくなりました。
道はいつまでもある。
当たり前ですが、
僕にとっては宝ものを見つけた気分でした。
それではまた。
今日もていねいに。
松浦弥太郎