2022/04/06

今日もていねいに。61

みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしでしょうか。

仕事や暮らしにおいて、
新たにスタートを切った方も多いと思います。
みなさんの一歩一歩を応援しています。

この季節になると、
自然と手にとる一冊があります。
道元が書いた「典座教訓」です。

典座というのは、
僧侶の食事を作る役職のことで、
いわば寺の料理人です。
その典座の仕事の心がけや行いを、
ていねいに書いたものが「典座教訓」です。

その中に、
米や野菜といった食材や器の扱いについて、
人の目だと思って、まごころを込めて洗い、
いつも両手で持って大事にするとあり、
ご飯を炊く際は、鍋を自分そのものだと思い、
水は自分自身の命そのものと考えるとあります。

この教えは台所の仕事だけでなく、
日々の家事や仕事にも通じる、
大切な心がけだと思います。

できるできない、
やるやらない、というこだわり以前に、
自分自身のまごころをいかに大切にするのか、
どのような心でそれと向き合うのか。
そういうほんの小さな一握りの心の働きが積み重なって、
いつか大きな山を作るのだと思うのです。

忘れてはいけないのは心の働きです。
頭を使うことも大事ですが、
もっともっと大事なのは心を使うこと。
自分の心を働かせること。
家事でも仕事でも、人との関わりにでも。

今日も心を働かせます。
そんなことを思う4月です。

それではまた。
今日もていねいに。

松浦弥太郎

松浦弥太郎

エッセイスト、クリエイティブディレクター

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