2022/07/06

今日もていねいに。73

みなさん、こんにちは。
お元気でしょうか。

なんてすてきだろうと、
いつまでも心に残っている
本の書名ってありませんか。

書名を思い浮かべるだけで、
著者のお人柄や、本への思いなどが、
じんわりと伝わってくるような、
いつもそばにあってほしいと思うような、
友だちのように思える本のこと。

「古い国からの新しい手紙」は、
僕にとってそんな一冊です。

ニールセンという、
女性ジャーナリストが、
日本の読者のために、
ヨーロッパの国々の文化や習慣、
その土地で見たり聞いたりした日々のことを、
とてもわかりやすくやさしい言葉で、
書き綴った紀行エッセイをまとめたものです。

昭和30年に発刊された本ですが、
著者の無邪気なまなざしで見つめた旅の日々と、
そこで出会ったさまざまな出来事の記録は、
まさに旅先から自分あてに届いた手紙のようで、
今読んでも古さをちっとも感じさせません。

「古い国からの新しい手紙」という、
古い美しさを心から大切にして、
そこから新しさを生み出していく考え方や生き方は、
私たちへのメッセージとも捉えられます。

時代はいつだって変化していますが、
変わって良いことと、
変わらなくて良いことがある。

そのふたつのことを、
自分の目でしっかりと見極めることで、
はじめて新しさという喜びを、
自身から生み出せるのだと思います。

何を大切に守り、何を受け入れ、
どんなチャレンジしていくのか。
こんなふうに僕は自分に問うのです。

何を大切に守るのか。なくなったら困ること。
守るとは愛すること。
まずはこのことから考えていきたい。
そのひとつに「書く」ことがあります。

そう、「書く」ことを愛する。
そして自分の書く字を愛していきたい。

今日のランチは、
残り物のじゃがいもを茹でてから、さっと炒めて、
ロメインレタスと生ハムと合わせたサラダです。
「料理」も守りたいことのひとつ。

それではまた。
今日もていねいに。

松浦弥太郎

松浦弥太郎

エッセイスト、クリエイティブディレクター

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