2023/03/15

【まとめ②】サクッとわかる 話題のインボイスを大解説

前回に引き続き、今回も「インボイス」について簡単にご説明します!

第1回は「1.インボイスってそもそも何?」「2.インボイスを発行できないとどうなる?」についてご説明しました。

第2回の今回は、「3.インボイス開始で 取引解消・値下げ交渉される場合もある」「4.副業が会社にバレる? 個人情報がもれるおそれも?」についてご紹介しようと思います。知らないうちに損していたり、個人情報がもれていた…なんてことがないように、インボイス制度についての知識を知っておきましょう!

3.インボイス開始で 取引解消・値下げ交渉される場合もある

 インボイス制度が始まれば、免税事業者はインボイスを発行できません。取引相手(顧客)である課税事業者は、免税事業者が懐に入れている消費税を控除できず、肩代わりすることになります(第1回参照)。課税事業者にとっては、仕入先などに免税事業者がいると、消費税分の負担増しになってしまうのです。

 この場合、課税事業者としてはどのように考えるでしょうか? 仕入先である免税事業者に対して、課税事業者になってインボイス発行事業者になるよう求める、または免税事業者のままでいるのなら消費税分の値下げを要求することが考えられます。

 もちろん両者の交渉によって、免税事業者が要求に応じることは可能です。ただ免税事業者にそれらを強制すると、独占禁止法または下請法もしくは建設業法に抵触する可能性があります。以前の消費税の増税時には、価格の据え置きを強制することは違法とされました。同じような取り扱いがインボイス制度でも行われる可能性があります。

 いずれにせよ、免税事業者のままでいるという事業者で、取引相手に課税事業者がいる場合は、インボイス制度が始まる前に話し合いを行っておくことをおすすめします。

4.副業が会社にバレる? 個人情報がもれるおそれも?

 このほかにも、インボイス発行事業者に関しては、情報漏えいにつながるおそれがある点が懸念されています。

 インボイス発行事業者としての登録を受けた事業者の情報は、単に税務署のデータベースに登録されるだけではなく、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で公開されます。これにより、取引相手は「仕入先がインボイス発行事業者か」「請求書に記載された登録番号は正しいか」などを確認できます。  

 この点についてはいろいろと問題点が指摘されており、たとえば登録番号からペンネームや芸名で活動している有名人の本名がバレるおそれがあります。個人の場合は、フルネームや登録番号は必ず公表され、任意で屋号(通称)や住所・事務所の所在地などを公表できます。また、勤務先に内緒で副業を行っているサラリーマンについては、副業が勤務先にバレる危険性があります。

今回は、インボイス制度が始まる前に知っておくべき知識を中心にご紹介いたしました。免税事業者とのトラブルや、情報漏洩、副業が会社にばれてしまった…などの事態にならないよう、インボイス制度が始まる前に情報を知っておくことが大切です。

次回(最終回)は「5.インボイス制度。フリーランス・免税事業者の対策法は3つ」「6.インボイス無視していいのはどんな人?」についてご紹介いたします!


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