いかがお過ごしでしょうか。
松浦弥太郎です。
ときおり「文章の書き方を学びたい」という方がいて、
どうしたら上手に書けるようになるかと、
相談を受けるときがあります。
僕ごとぎが教えるなんてできませんが、
心がけていることや、
いつも大切にしていることは、一言二言なら、
お話しできますと答えています。
技術的なことではありません。
ひとつ言えるのは、物事との向き合い方で、
「なんでも好きになること」ではないでしょうか。
人や街、暮らしや仕事、自然や動物、
風やにおい、あたたかさや冷たさ、美しいもの、
傷ついていたり汚れているもの、
鉛筆でも、靴でも、服でも、落ちている紙くずでも、
とにかく見るもの、感じるもの、思うもの、
苦しいこともつらいことも、
日々のこと、いつかのことも、
そういうすべてなんでもを好きになる。
すなおな心で向き合うということです。
好きになれば、好きになったほうから、
自分にそっとなにかを話しかけてくれるような気がします。
好きになれば、もっとよく見ようとしますし、
知りたいことができたり、ほんの小さなことにも気づきます。
好きだなあという気持ちは不思議なもので、
同時に感謝の気持ちもわいてきます。
そうすると、ほんとうに、
自分とそのなにかとの対話が生まれるのです。
何かが起きたり、感動があるのです。必ず。
そのときにわかったこと、うれしかったこと、
びっくりしたこと、もっと好きになった気持ちや、
心が動いたことを、ありのままに書けばよいのです。
僕はそんなふうに文章を書いています。
悲しいことやつらいことも好きになる。
そんなことができるのでしょうか。
とってもむつかしいけれど、
好きになれる人に僕はなりたいですね。
それではまた。
今日もていねいに。
* 文章とは関係ありませんが、お守りにしている旅先で出会ったテディベアの写真です。