みなさん、こんにちは。
お元気でしょうか。
先日の日曜のことです。
おいしい思い出をあれこれと、
母と互いに言い合って楽しみました。
可笑しかったのは、
そこで挙がった食べものが、
おしんこやふりかけ、煮こんぶ、
玉ねぎのおみおつけなど、
なんてことのない家庭料理ばかりです。
「いちばんはおいしい梅干しが入ったおむすびね」
と母は言いました。
僕は「お味噌を塗ったおむすび」と言いました。
子どもの頃、おやつ代わりに、
母がよく握ってくれた小さなおむすびがあります。
表面に白味噌をていねいに塗ってくれていて、
そのなんとも言えない甘さがおいしくて、
今でも忘れられない母の味です。
ということで、
その日のお昼ごはんは、
二人でおむすびを作ることになりました。
僕は母が大好物の、
紀州南高梅を選んで、
おむすびを握りました。
母にも白味噌を塗ったおむすびを握ってもらいました。
驚いたことに、握力がなくなって、
鉛筆も落としてしまう母でしたが、
おむすびはらくらくと握れるのです。
今日のお昼ごはんは、
梅干しの小さなおむすびと、
白味噌の小さなおむすびを一つずつ。
熱い緑茶も淹れました。
母のおむすびを食べるのは何年ぶりでしょう。
かたちはでこぼこですが、
そうそう、この味この味!と、
懐かしすぎて涙が出そうになりました。
母も僕が握った梅干しのおむすびを、
おいしいおいしいと食べてくれました。
楽しくて嬉しくて、
おいしいお昼ごはんでした。
胸がいっぱいになりました。
それではまた。
今日もていねいに。
松浦弥太郎