第27回手帳大賞 結果発表

第27回手帳大賞にたくさんのご応募
ありがとうございました。

「名言大賞」に52,377作品、
「商品企画大賞」に2,665作品、
合計55,042作品のご応募の中から、
審査員をみごとにうならせた受賞作品を
発表いたします。

名言大賞 受賞作品

  • 大賞作品

    あなたはたくさんいていいのよ

    生越 寛子 おごし ひろこ 42歳 自営業 (大阪府)

    【 発言者 】
    【 背景 】
    初めての子育て、うまくいかずに泣いていた。母になりきれない自分。母であり、妻であり、子どもであり、だらけたい一人の人間であり、料理が下手な人間であり、家事が嫌いな人間であり、誰かの助けに頼ってばかりな人間であり、ダメな自分を受け入れがたくてもがいていた。そんなとき、母が言った。「あなたはたくさんいていいの。どんなあなたも認めてあげなさい。子どもでもいいの。だらけていてもいいの。ときには泣いたって、弱くたっていいの」どんな私もたくさんの私が存在していていいんだ、と前向きになれた言葉。
    【 大賞寸評 】
    • 多様化が求められる現代ですが、個人の考え方として、いろんなポジティブ側面、ネガティブ側面があっても良いと勇気づけられる。(いとう)
    • 相手の多面性を認めるのはもちろん、自分の中の多面性を認めてあげることで、とても気持ちが楽になる。(東)
    • 自分自身の行動や思考に一貫性を求められがちな現代だからこそ、多面的であることを肯定する寛容さが響いた。(平野)
  • 特別賞

    生まれ変わったら私が譲るね

    早川 宏 はやかわ ひろし 51歳 公務員 (神奈川県)

    【 発言者 】
    バスで席を譲った高齢女性
    【 背景 】
    仕事帰りに最寄りのバス停からバスに乗車しました。私が乗車した時には空いていたので席に座っていたのですが、バスが進むにつれて混んできました。しばらくして80歳から90歳くらいの高齢女性が、腰が曲がった状態でカートを押しながら乗車してきました。優先席に座っている学生やサラリーマンが譲らないので、二人席に座っていた私が声をかけて席を譲ったところ、このような言葉をかけてくれました。私が高齢者になりバスで席を譲ってくれる若い女性がいたら、この方かもしれないので、この言葉を忘れずにいたいと思います。
    【 大賞寸評 】
    • 席を譲られた側は、感謝を伝えることしかできないと思っていたが、機転の利いた表現に驚かされた。
      この名言をきっかけに席を譲る行動が広がってほしい。(いとう)
    • 「生まれ変わったら」という一風変わった視点を持った返答で、ユーモアの中に優しさが感じられる。(東)
    • まるで小説のワンシーンのような、席を譲った側も譲られた側も幸せになれるひとこと。(平野)
  • 特別賞

    お母さん 冬が聞こえるね

    野村 絢子 のむら あやこ 76歳 (東京都)

    【 発言者 】
    次女(3歳)
    【 背景 】
    自転車の前と後ろに子ども達を乗せて走っていた時、どーと冷たい風が吹きつけてきた。ひゃあと首をすくめた私に次女が言った言葉。しばし寒さを忘れました。
    【 大賞寸評 】
    • 夏場なら蝉の鳴き声など代表的な分かりやすいイメージがあるが、「冬が聞こえる」と聴覚的に感じている点が趣深い。(いとう)
    • 本来聴覚で感じることはない「冬」を、3歳の娘ならではのワードチョイス、センスに惹かれた。(東)
    • 冬の厳しさを差し置いて、冬の美しさが広がる言葉。様々な冬の音に思いを馳せたくなる。(平野)
  • 特別賞

    『初めて』を楽しんで!

    中島 加奈子 なかしま かなこ 41歳 パート (岐阜県)

    【 発言者 】
    初めてのアルバイトの面接時の社員の方
    【 背景 】
    私が高校生の時、初めてのアルバイトで面接を受けに行ったときの話です。初めてのことで17歳の私は不安でとても緊張していました。初めてのアルバイトだと告げると面接を担当して下さった社員の方が最後に「初めてを楽しんで!」と言ってくれました。その言葉で私の心はとても軽くなり、初めてのアルバイトが楽しみになりました。それから就職、転職、結婚、出産、育児。初めてだから失敗しても大丈夫! うまくいけばラッキーぐらいの気持ちで私なりの初めてを楽しんでいます。何か新しいことを始めるとき、挑戦するときに必ず「初めてを楽しんで!」を思い出します。
    【 大賞寸評 】
    • 年齢にとらわれず、まだまだ「初めて」に出会えることを楽しみたい。(いとう)
    • 身の回りに実は、ありふれている「初めてのこと」を改めて感じさせられるようになった。(東)
    • ネガティブな出来事があっても、「初めて」を経験していると考え、どんな事でも前向きに捉えられそう。(平野)
  • 優秀賞

    明日の予定は元気。

    小野 あけみ おの あけみ 24歳 会社員 (東京都)

    【 発言者 】
    友人(高校からの)
    【 背景 】
    失恋をしたばかりの友人。大好きなお菓子も食べなくなったし、しばらく暗く落ち込んでいたのに「よし、ふっきれた」といつもの友人に戻りました。
    遊びに誘うために、「明日予定ある?」と聞いた時の友人の言葉です。心配してたから一気に安心しました。
    【 大賞寸評 】
    • 何も予定がない日は思わず「元気」と書きたくなってしまいそうなひとこと。(いとう)
    • 明日のスケジュールを見たときに、予定がない日でも、あえてこんな予定を入れたくなった。(東)
    • 今、無理に元気だと強がるのではないところが良い。元気を明日の予定にしてしまう、という発想に励まされる。(平野)
  • 優秀賞

    なんか人のために頑張っています。

    矢野 浩樹 やの ひろき 41歳 事務 (福岡県)

    【 発言者 】
    5歳の息子
    【 背景 】
    保育園で、先生から「パパは何のお仕事してるの?」と聞かれた息子。私自身、事務したり保育士したりイベントしたりと、色々しているもので、その様子を見ている息子もきっと分からないのもあり、少し悩んだ後にこう言ったみたいです。「パパは、なんか人のために頑張っています」と。それを先生から聞いて、なんだか嬉しく、息子を褒めた一言となりました。
    【 大賞寸評 】
    • 自分本位になりがちな現代で、誰かのため、人のために頑張れる姿がカッコいい。(いとう)
    • 一見、シンプルだけど、人のために頑張っていることは誇らしいと思う。(東)
    • 誰のために仕事をしているか分からなくなる時に、このスタンスでいると心が楽になりそう。(平野)

名言大賞 審査員プロフィール

  • いとうせいこう

    いとうせいこう

    1961年生まれ、東京都出身。1988年に小説「ノーライフキング」でデビュー。1999年、「ボタニカル・ライフ」で第15回講談社エッセイ賞受賞、「想像ラジオ」で第35回野間文芸新人賞受賞。近著に「鼻に挟み撃ち」 『「国境なき医師団」を見に行く』「小説禁止令に賛同する」「今夜、笑いの数を数えましょう」「ど忘れ書道」「ガザ、西岸地区、アンマン」「福島モノローグ」「われらの牧野富太郎!」「今すぐ知りたい日本の電力」「ラジオご歓談!爆笑傑作選」などがある。みうらじゅんとは共作『見仏記』で新たな仏像の鑑賞を発信し、武道館を超満員にするほどの大人気イベント『ザ・スライドショー』をプロデュースする。現在はnoteで「ラジオご歓談!」を配信中。音楽活動においては日本にヒップホップカルチャーを広く知らしめ、日本語ラップの先駆者の一人である。現在は、ロロロ(クチロロ)、いとうせいこうis the poetで活動。いとうせいこう is the poetファーストアルバム「ITP 1」が発売中。テレビのレギュラー出演に「ビットワールド」(Eテレ)、「楽しく学ぶ!世界動画ニュース」「フリースタイル日本統一」(テレビ朝日)、「新TV見仏記」(関西テレビ)などがある。NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」では主人公が憧れる植物学者里中芳生を演じた。

  • 東 直子

    東 直子

    歌人、作家。1996年「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、2016年『いとの森の家』で第31回坪田譲治文学賞受賞。歌集『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説『とりつくしま』、歌書『現代短歌版百人一首 花々は色あせるのね』、エッセイ集『一緒に生きる』、書評集『レモン石鹸泡立てる』、児童書『くまのこのるうくんとおばけのこ』など。最新刊は小説『ひとっこひとり』。「東京新聞」「オール讀物」等の短歌欄選者。

  • 平野 紗季子

    平野 紗季子

    フードエッセイスト、フードディレクター。小学生から食日記をつけ続け、慶應義塾大学在学中に日々の食生活を綴ったブログが話題となり文筆活動をスタート。
    雑誌・文芸誌等で多数連載を持つほか、ラジオ/podcast番組「味な副音声」(J-WAVE)のパーソナリティや、NHK「きみと食べたい」のレギュラー出演、菓子ブランド「(NO) RAISIN SANDWICH」の代表を務めるなど、食を中心とした活動は多岐にわたる。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)、『味な店 完全版』(マガジンハウス)など。

商品企画大賞 受賞作品

  • 優秀賞

    中高生のための手帳

    谷口 楓果 たにぐち ふうか 15歳 学生 (佐賀県)

    【 企画概要 】
    中高生の学校生活をよりよいものにさせることをねらいとした手帳。
    ●月ごとのページ
    毎月の目標を、勉強・学校・そのほかのことに分けて記入できる。
    さらに、月ごとに気持ちが明るくなる名言をのせ、モチベーションを高く保てるようにした。
    カレンダーは予定を書き込める広めのスペースにした。
    ●週ごとのページ
    時間割、ToDoリスト、勉強時間、その日の満足度を書くスペースで構成。
    勉強時間と満足度を毎日点で記録し、それを次の日の点と結んでいくと折れ線グラフになり、視覚的に自分の状況が確認できるようした。
    ●定期テストの記録、Wish List、読書ログ
    生活をより豊かにするものを、一冊の手帳の中だけで実現できるようにした。
    Wish Listにやりたいことを書くことで、希望を持てない時代、不安が多い時代でもモチベーションをあげることができる。

    この手帳は全体的に書き方の自由度は低いが、低いからこそ手帳の書き方が安定しやすく管理しやすいものとなり、途中でサボってやめることなく続けることができると思う。
    【 作品寸評 】
    現役の中高生が考えた、中高生のための手帳です。日々の勉強時間や満足度をグラフ化できるなど、学校生活をより充実したものにするための工夫が随所に見られその完成度の高さには、審査員一同、驚かされました。ユーザーの視点に立つことの大切さに、あらためて気づかされる思いです。